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収束・終息・集束

「あれ?」
電話で散々怒られたらしく、ぐったりして戻って来たカクを見てスケが気づいた。
「カク、お前いつ着替えたの?」
「は?何がで…あれ?」
カクはカクで、スケのスーツを指す。
「お?」
二人とも島についた時に着ていた服になっている。
プヘヨロマーニとかプヘヨロボスとか名付けた『防具』ではない普通の服に。
「え?ちょっと待てよ…」
スケが自分の荷物を探り、舌打ちする。
「島脱出記念ケーキと「島」に行ってきましたクッキーも無くなってるぜ…」

「ああっ!ベアもいないっ!」
「シチもおらんのう」
カフェを出て、ターミナルのロビーにあるベンチに落ち着いた一行は
ひとしきり荷物を確認し、顔を見合わせる。
「つまりアレか、夢オチ?」
「ユマオチ?」
スケの疑問に、カクが首をかしげる。
「『夢』な。あれだよ、全部夢だった、って言う…アリチェ…アリスの話みたいな。」
ああ、と納得してからカクは首を横に振った。
手には、自分の手帳。
「残ってます。内容。」
「島の物は持ち出せなかったということかのう」
ミツクニスの言葉に、二人は同意する。
元々持っていた物と、それで書いた物は残り、島で手に入れた物は消えた
「結構気に入ってた小物もあったんだけどなぁ」
スケが残念そうに言う。
「ところでカク。」
「なんですか?」
「逃げなくていいのか?」
「え?」
途端に自分の背後=スケの視線の先に殺気に近い気配が膨れ上がった。
咄嗟にベンチから前方に体を投げ出す。
今まで頭のあった辺りを、しなやかな脚が薙ぐ。
「しゅ、主任。こんなところでそれはまずいですよ?」
カクは、ミツクニスの背後に逃げ込んだ。
本来、護衛として許される行為ではないが、この脚の持ち主なら、ミツクニスに攻撃する事はありえない。
ミツクニスを守る為には、自分の被害も避けなくてはいけないので、最善の対応であろう。
とは言え、はみ出ている部分も多いので、十分に警戒して振り向く。
そこには、既に蹴りを放った痕跡など無い、笑顔の美人秘書が立っていた。
「そうね。じゃあ、続きは社に戻ってからたっぷりと…」
カクの顔から血の気が引く。
「随分早かったのう。」
「横浜支店までヘリで来ました。」

駐車場へ行き、支店で借りたと言う車に乗り込んだ。
「早いと言えば、そっちの方がおかしいわよ」
運転席に座った弓が、吐き出すように言う。
旅の影響がどう出るか分からないので、スケカクには運転させない事にしたらしい。
「携帯の反応が1時間前にほんの一瞬だけあったのよ。」
後部座席のカクが、電池の切れた自分の携帯をちらりと見た。
「フロリダ半島と、プエルトリコの間あたり。まあいわゆる『バミューダ海域』よね。」
「…ちょ、主任、そんな漫画みたいなwww」
助手席のスケが苦笑する。
「むしろ私が問題にしたいのはその後よ!なんでそこから1時間で横浜に着くわけ?1万数千kmあるのよ?どんな高速船よ!メキシコかアメリカへ人をやる準備してたら、横浜って!」
弓は運転しながら、ハンドルを叩く。
「主任…ムキになった顔も素敵で、お応えしたいのは山々なんですが…俺たちにもさっぱり分からないんで。残念ですが。」
スケがいかにも残念そうな顔で、わかりやすく肩をすくめた。
不思議な事にはもう慣れた。
何と言うか、あるがまま受け入れるしかないじゃないか!という気分である。これが悟りの境地と言うヤツか!
まあ実際のところは『ほんの一瞬だけの反応』が間違いだったとする方が可能性は高いだろうが。

「プエルトリコ…あ。会長、ちょっと失礼します。」
不意にカクが思い出して、鞄から会長の名刺入れを出す
「あった。」
一枚の名刺。それは島の外で作られた物だった所為か、失われずに残っていた。
「スケさん、これ。」
名刺を後部座席から肩越しに渡す。
[D&C社 バルドゥイノ・ヴェステンドルプ b_westendorp@dc-662.com]
「おお、スペイン人」
「違います、プエルトリコ出身だと言っていました。…一応、メールアドレスとかあるわけですけど」
「んー。」
連絡をすれば、何か分かるかもしれない。分からないかも知れない。
勿論、連絡したからと言って、アドレスが実在しないかもしれない。
むしろ、今回の出来事を、うやむやにした方がいいのなら連絡はすべきではないし
難しいところだが…
「こちらは無事に帰社しましたと、メールした方がいいでしょうか。」
「それは違うと思うぞ;」
普通の出張帰りか!お前はどうしてそう毎度毎度外してくるんだ狙ってるのか?!
そう言おうか言うまいか逡巡している間に、運転席から声が上がった。
「見せて貰える?」
スケが、名刺をハンドルを持つ弓の手元に滑り込ませる。
「D&C?あの製薬会社の?」
「ご存知ですか?」
「いえ、取引とかは無いけどね、なんていうか、都市伝説的な噂がね。出来すぎだなぁと…」
自嘲めいた笑いを浮べ、名刺を返す。
「宇宙人と戦っているとか、異世界に移動する技術を持っているとか、ね。加えてバミューダって…」
「…ちょ、主任、そんな漫画みたいなwww」
くすくす笑う二人の後ろでカクは怪訝な顔で首をかしげた。
「え、つまり…今回の事は、彼の会社の技術によることだったのですか?」
「本気にするな;」
スケががっくりする。
だいぶ堅さも取れてきたし、融通も利くようになって来たかと思えば、こういう所は相変わらずで、迂闊に冗談も言えない。

ともかく、車とヘリを乗り継ぎ、本社へと戻る。
そして
「おわかりですか、会長!」
「弓くん、もう十分反省したからの」
「いいえ、今日は言わせて頂きますよ!会長は以前からですね…」
日が傾いてきた景色の中、会長室でお説教…;
「そもそも今回の事態を招いた原因は…」
そわそわ
「今後は、各々、心に留め置いて…」
そわそわそわそわ
「…カクリッヒ・アツミハルトっ!聞いているのかっ!」
「は、はいっ!」
就業時間の終わりが近づくにつれ、ソワソワするカクに弓の雷が落ちる。
「まぁまぁ、主任。勘弁してやってくださいよ、5ヶ月も会えなかった恋人が、
 3分とかからない距離にいるのが分かっているんですからソワソワもしますよ。」
「スケさん…?」
スケが男を擁護するなどと言う極めて珍しい(と言うか初めての)状況にカクは目を丸くする。
やはりこれだけ長く死線を共にすると…
「今日はこの辺にして、続きはまたにしてやれませんか?」
それが目的か
「…きみが、二人分の説教を受けると言うなら、解放しても良くってよ?」
「やれませんね!続けてください。」
「スケさん…;」
幻想でした。
「まぁ、もう全部言い尽くしたし、よしとしましょう。」
弓も流石に疲れたのか、ため息をつき、首を左右に倒して伸ばしほぐす。

「明日から三日間、有休取って構わないけど、どうする?」
「「取ります!」」






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後日談です。捏造です。
と言うか、前日の戦闘終了後からもう捏造な訳ですが。
ゲーム自体は25日目で終了しております。26日目は存在しませんのでご了承ください。
  
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