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21日目

Pesce d'aprile(*1)

「さあスケさん、カクさん、今日は4月の1日、エイプリルフールじゃ。どんどん笑わせる嘘をつくのじゃ。ほっほっほ。」
「うっかりうっかり!」
「くるっぽ!」

朝起きるなりとつぜんミツクニスがそんなことを言い出した。
寝ぼけた頭でスケは思った。…年寄りの朝は早くて困る…

朝食後
「うーーーーーーん;」
「どうした?カク」
「嘘を考えています…」

こいつには一生かかっても無理だと思った。

「そういやカク、イタリアでパスタのなる木が開発されたそうだぞ」
「スケさん!いくらなんでもそんな嘘には騙されませんよ!」
「あはは、そうか。でもパスタの元になる粉はなんと植物からとれるんだぞ。」
「またまたー。」

…カク、どこまで本気なんだ…大物だな…

そんな事を思われているとは露知らず、カクは嘘を考えていた。
と言うか、考えられなくて困っていた。
思いつかない。
例えば失敗した事を隠したいとか、相手が傷つくような事を伏せておきたいとか、
そう言う事で嘘をつくなら分かるが、何も無しでいきなり嘘をつくのじゃ、と言われても…
うーん…
何か別のことを考えていれば、それに関して嘘が思いつくかもしれない。
別の事…何か考える事があったのだが…
ああ、そうだ。召喚の解析の事だ。
磁場の変化と…温度上昇…風、振動…電流が…
いやこれは誤差の範囲か…
と言う事は、この辺りを更に詳しく調べて…
あ、待てよ。その前に、外に出るって言ってたから星の状況を見るほうが先か。
定点カメラみたいな物が欲しいな。一定時間ごとに星空を写すように。
…携帯についてるカメラを利用できないかな。
でもここで分解して部品を使ってしまうと、あとで通信機器として利用する状況になった時に困るかもしれないし…

嘘を考える、と言う当初の目的を完全に忘れた頃、
移動の準備を整えたスケが、伸びをする。
「さてー、今日で一旦日光が浴びれるわけだな。」
「騙されませんよっ!」
反射的に言い返す。言い返してから、嘘を考えていたのを思い出す。
「いやいや、嘘じゃないぞ;遺跡から出るからな?」
「ああ、そうでしたね…もう何が何やら;」
混乱気味のカクはさておき、スケはミツクニスに話しかけた。
「ご隠居、そういえばこの島から、たーまに船が出るらしいですよ。行き先までは分からないけど。」
「本当ですか?!」
話しかけられた当人より、食い付いた人間がいたがとりあえず放っておく。
「スケさん、一つ良いかのう?」
「何ですか?」
「ふはは、実はまだ3月31日なのじゃ。」
「「えええええっ?!」」
二人同時に叫ぶ。
「びっくりびっくり!」
「くるっぽ!」
「あ!またまたご隠居、俺たちをだまそうとして〜」
「え、そうなんですか?」
「…さてどうかのう?」
もう何を信じたら良いのか分からない春の或る日でありました。

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注釈
(*1)イタリア語でエイプリルフールのこと。

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今日のメニュー

スケ:なし

カク:
おにく50 を料理してもらい、 ビールによく合う特製豆腐ソーセージ を受け取りました。
スケさん「四旬節だからな。」

会長:
おにく20 を料理してもらい、 寄せ集め肉のハムステーキ を受け取りました。
スケさん「人工物でも、脂の入り具合とか、結構良いんですよ。」

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