14日目 il giorno di SAN VALENTINO (*1) バレンタインデーが近い。 今年は花もジュエリーも手に入りそうもないから、 カードだけで寂しいと思っていたら、 予想外な情報を手にいれる事ができた。 「日本ではチョコレートを送るのが定番」 なるほど。 確かにあっちでもBaci(*2)はポピュラーだったな。 ポピュラー過ぎて俺は使ってなかったけど。 というわけで、カクとハチとシチ総動員、ご隠居にまで手伝わせて、 チョコレートの大量入手に成功。 俺がデザインした型をカクに作ってもらい、 出来上がったのが特製“Haci”チョコ。 今年も俺の全てのバレンチノ(*3)へ愛を込めたプレゼントができるぜ。 よかったよかった。 手伝ってくれたご隠居とカクハチシチにも一つずつ、愛が篭ってないのをやらんとな。 深雪さんお元気ですか? 先日書いたちょっとした物が… 「カク。ほらお駄賃だ。」 手紙を書いている視界を何かが遮る。 一瞬迷惑そうな顔をした後、それがチョコレート色のハチである事を認識し、カクはペンを置いた。 「頂きます。」 チョコを受け取り、もぐもぐと食べる。 「うん。美味しいです。それにしても…」 目の前に山積みになっているハチチョコの入った箱を見上げて首をかしげた。 「スケさん、こんなに沢山のチョコレート、どうするんですか?」 「どうするって、女性にプレゼントするんだよ。」 「はあ、そうなんですか…。」 納得いかなそうなカクに、スケは予想外だった情報を得意げに開示する。 「日本ではバレンタインにチョコレートを贈るものらしいからな。」 「あぁ、バレンタイン。やはり実際にあるんですね。」 「?実際にって、何言ってんだカク?」 カクは真ん中玉をもぐもぐ食べながら、興味無さそうに説明をする。 「知識としてはあるんですが…郷里ではあまり一般的ではなく、実際のやり取りを見た事がなかったので。」 「どこの国だよ」 「ドイツです。」 「知ってるよ、真顔で言うな…;」 スケは呆れた様にため息をつき、気を取り直して笑顔でチョコの山を指す。 「まあいいや。で、少しだったら分けてやるぞ、いくつくらいいる?」 「いえ、特に必要ないです。」 どうせ深雪さんに送る事は出来ませんから、という台詞はハチチョコの最後の玉と一緒に喉の奥に流れていった。 …そんなもの知るか!! 郷に入りては〜って言ってたのはお前だろうが。(*4) 「この島で出会ったお嬢さん方がいるだろ!あー、もう!ちょっと待ってろ!」 よーし、こうなったら強硬手段だ。 スケはミツクニスの元へと向かった。 「会長。婦女子を悲しませるカクに制裁を与えるためにハンコ下さい。」 「なんと、それはいかん。スケさん、懲らしめてやりなさい。」 ペタッ 「うっかりうっかり!」 流れるようなやり取りを終え、スケは何か書類を持って戻ってきた。 「これでどうだ!」 〜〜〜業務命令〜〜〜 ミトーファイナンスジャパンに勤務する男性職員は 2月14日までに、面識のある女性に 自社公認チョコ“Haci”を配布すること。 但し、上記命令は愛がある場合等自発的な同性への配布を 妨げるものではない。 <会長決裁済> 「ええぇっ?!」 「命令だもんなー、仕事だもんなー。しょうがないよなー。」 ニヤニヤしながら紙をヒラヒラさせる。 「さあ、チョコレートをお嬢さん方にお渡ししに行くぞ!」 ------------------------------------------------ 注釈 (*1)イタリア語でバレンタインデー (*2)ペルジーナというメーカーのキスチョコ (*3)愛しい人、といった意味 (*4)前回結果参照。しかし、微妙に郷に入ってない。 ------------------------------------------------ †:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:† 今日のメニュー スケ:なし カク:なし 会長: おいしい草 を料理し、 まにあわせのもやし炒め をつくりました。 †:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:†:.。.:゚:.。.:† |