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6日目
親愛なる深雪様。いかがお過ごしですか?

今日はこちらに来て初めて肉に巡り合いました。
数日間、美味しいけれども野菜ばかりで過ごし、力が出なくなってきているような気がしていたのでとても嬉しいです。
挽肉にしてソーセージにしたら美味しいと思うのですが、腸やそれに代わる物が無いので無理でしょうか。
でも一応、後でスケさんにお願いしてみようと思います。

そうそう、スケさんといえば、今日も料理を教わったのですが
パンを小さく切って揚げた物を見せて、
「クルトンっていうんだぜ。…知ってたか?」
いくらなんでも知っています!作り方は知らなかったけれど…
この調子ではちゃんとした献立が作れるようになるのは大分先のようです。
早く帰りたい反面、何も出来ないまま帰るのも悔しく、ちょっと複雑な気持ちです。
それと、例の草をむしって会長にパスタソースを作っていました。
痛くないのかと心配になりましたが、言葉が通じないので聞きようがありませんでした。

会長は風邪をひきました。
そんな事は関係無く、相変わらず出会った生き物全てを手懐けようと、どんどん近寄って行きます。
先日手懐けた動く草は、ちゃんと会長を守ろうとしていたので、会長は凄いと思いました。
でも、じゃれつかれているのか、攻撃されているのか判断に困るので、やめて欲しいです。
が、「年寄りの楽しみを奪うのか」などと言って聞いてくれません。困ったものです。

では、深雪さんも変な生き物にはお気をつけ下さい。
またお手紙します。

カクリッヒ・アツミハルト


「だぁー、もう!」
会社のことが心配になってきた。わしがいなくても問題は無いはずじゃが、様子がわからないと気になってしょうがない。
風邪だというのにそんな心配をするミツクニスを無理やり寝かせ、離れたところでスケは憤っていた。
「ご隠居はー!草を下がらせて自分がずんずん前に出るし、せーので撃つって言った技出さないし…」
「……」
「まあ、流石ご隠居、あれでかなり強いから、手下も増やしてるし最悪カクが身代わりになるんだろうけど…
警護する方の身にもなってほしいもんだ。」
「…スケさん」
「ていうか、せめて草を前に出せばいいのに。ま、部下に優しいのがご隠居のいいところなんだけどな。。」
「スケさん。」
「次は「せーの」の声をもっと大きくするか」
「スケさん、うるさくされると縫目が狂うのですが;」
カクは針を針山に刺し、頭の後ろで、小声ながらも愚痴り続けるスケを振り返った。
「あぁ?」
愚痴を中断されたスケの頭に、記憶が一気に蘇る。カクに乞われて、料理を教えていた時の事…
カク「その調味料は何cc入れるのですか?」
カク「先ほどスケさんが入れた量はスプーンの縁から1mmほど下に液面があったようですが…」
カク「一つまみといわれても、私とスケさんの指では太さが違います…どの指を使えばいいですか?」
極めつけ。
カク「アルデンテというのは髪の毛一本芯が残る茹で上がりのことなんですね。(毛髪をプチンと一本抜く)待ってください、
 今太さを測りますから…」
…あー!!
なんだってドイツ人はあんなに細っかい事ばっか言うんだ!
思い出すだけでイライラしてくる…。
あれじゃ2時間待ってもスープもできやしない。
イライラが高まりきったところで、一気にまくし立てようとして、
不意によぎった女性のほんわかした顔に、頭が冷えた。
ああ
「…深雪ちゃん、気が長いよな…」
「はい?」
唐突に出た名前に訳がわからず、カクはきょとんとしている。
…。
落ち着こう。
長く長くため息を吐き出す。一緒にイライラも吐き出すように。
深呼吸。
…。
こんな場所で仲たがいしてもいいことは一つもないのだ。
そう考え到ったスケの視界に大きな生地と裁縫道具が入る。
顔を上げるとカクは縫い物に戻っていた。揃った縫い目。
細かいのさえ目をつぶれば作業は馬鹿正直にきっちりやる。
それは利点なのだ。使い方さえ間違えなければ。
型紙押し付けたらシャツ作ってくれてたし。
ご隠居のお守も押し付けてるし。
社員証偽造したの見逃してくれたし。
…。
気持ちが落ち着いたからか、気持ちを落ち着けるためか、不意に料理がしたくなった。
さっき拾った肉で、ソーセージでも作るか。

調理道具を出そうとスケが荷物を開けると、そこには…
前衛的なものが入っていた。
あー、そうだった。
「カク、頼まれてたネクタイー」
「ああ、ありがとうござ…」
スケが荷物から取り出したネクタイ。なんとも形容しがたい外観に言葉に詰まる。
「もし俺がヨゼフ・ボイスだったら…我ながら前衛的にできたぜ。」
カクの持ち物だから、ドイツらしいもの、ドイツ、ドイツといえば…とスケなりに考えた結果、辿り着いたのがそこだったらしい。
ヨゼフ・ボイス
ドイツの現代美術家。パフォーマンスアートや独特な素材を使った立体作品が有名。
独特な素材…蜜蝋、フェルト、銅、鉄、玄武岩…そして
「…これ、材料は脂肪じゃ無いですよね…」
「ああ、大丈夫。「ヨゼフ・ボイス風」だから。」
さらっと言うスケの手には、包丁と肉。
それで何を信じろと…?
「流石に俺も脂肪でネクタイは作らないけど…」
そう言いながらも、それも面白そうだという態度は隠していない。
カクがどうしたものかと思案していると、ミツクニスの声がした。
「スケさん、お腹が空いたんじゃがのう。」
「はいはい、少し待ってください。あ、えーと…」
スケは振り向き、何か言おうとして言葉に詰まる。焦点はミツクニスの隣に控える動く草。
「ご隠居、その草にずいぶん愛着がありそうですね…まさかミトーファイナンスで雇うんですか?」
「うむ、なかなか可愛いもんじゃ。」
軽く話題を草に向ける。聞きたい事はそんな事ではない。
本題はー
「ところでこの草、なんて呼びましょうか。バジル?クレソン?」
「うむ、ハチなどどうじゃろう」
「ハチですね、わかりました。ともかく、」
本題はー
「…。…何か食べさせた方がいいんですかね?」
「水があればいいようじゃが。」
聞けなかった!
いざとなったら食べていいんですかね?とは聞けなかった!
説明しがたい敗北感のようなものに襲われながら、スケはまな板に向かった。

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今日のメニュー

スケ:
おいしい草 を料理し、 キャベツたっぷりお好み焼き をつくりました。
「ジャパニーズのソウルフードの一つだな。」

カク:
おいしい草 を料理してもらい、 白インゲン豆のサラダ を受け取りました。
カク「白インゲン…確かTV番組で紹介されて、話題になっていた気が…」
スケ「あ、大丈夫。ちゃんと火は通してあるから。…たしか。」

会長:
パンくず を料理してもらい、 スケ特製ガーリックトースト を受け取りました。
「スタミナ付けてくださいね!」

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